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- 2025年、私たちの新基準。「コスメ×サステナアクション」という選択肢
2025年、私たちの新基準。
「コスメ×サステナアクション」という選択肢
2025.01.09
TODAY'S GUEST
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岸紅子さん
ウェルネスプロデューサー
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・サステナブルコスメアワード審査員長
・NPO法人日本ホリスティックビューティ協会 代表理事
・環境省「つなげよう、支えよう森里川海」アンバサダー - 自身や家族の闘病経験をもとに、2006年にNPO法人日本ホリスティックビューティ協会(HBA)を設立。多数の美容・健康・医療関係者とともに女性の心と体のセルフケアの普及につとめ、資格検定や人材育成を行う。また、自らも自然治癒力や免疫力を引き出すためのウェルネス講座を幅広く実施。2016年~「環境省つなげよう、支えよう森里川海プロジェクト」に参画。環境アクティビストとしても、ライフスタイルを通じた人にも地球にも優しい循環アクションを多く提言している。
サステナコスメライフを始めるための2つのヒント
「たとえば、ジョギングをするとき。日中、緑豊かな公園で走るうちに呼吸が深まり、気持ちまでリフレッシュできたという経験をお持ちの方もいるかもしれません。一方、忙しい合間を縫ってジムで汗を流すことでリフレッシュすることもあるでしょう。それぞれに別の価値があると、私は考えています。コスメも一緒で、『100%エシカルにすることが絶対的な正解』と頑なになる必要はありません。様々なアイテムやブランドを組み合わせながら、その中に小さなエシカル視点を取り入れることから始めてみてはいかがでしょう」
そんな小さな一歩を踏み出す上で、ビギナーにおすすめの方法は2つある、と岸さん。まずは「原料に着目する」という方法だ。
「自然素材で作られたコスメを選ぶことは、わかりやすいエシカルアクションですね。先ほどのジョギングの例でもお分かりの通り、『自然』はその存在自体が私たちを癒してくれます。コンクリートジャングルで仕事に奮闘した1日の終わりに、大地や海が生み出す香りに満ちたローションで肌を包み、自分を労う――こうして日常の合間に自然の風とパワーを感じさせてくれるのが、オーガニックやナチュラルなコスメの魅力のひとつではないでしょうか。もし価格にハードルを感じるなら、まずリップクリームを1本取り入れることから始めても十分。自然素材に触れてみて、その良さが実感できたなら、さらに新たなアイテムを1つ増やしてみるといった具合に、無理なく心地よく続けるためのバランスを大切にしてほしいと思います」
そして、もう1つの方法は、「自分が心から賛同できるテーマに取り組む企業や製品を応援する」ことだという。
「地球温暖化や気候変動と言われても、壮大なテーマを前に『私一人で何ができるのか?』と立ち止まってしまう人は少なくないと思います。それならば、もっと視点を身近に引き寄せて、自分の生活や価値観にリンクする取り組みを応援してはいかがでしょう。動物が大好きなら、動物愛護を謳うブランドを。子どもたちの未来を思う人は、教育支援に積極的なブランドを。ハンディキャップを抱えた方が身近にいるなら、福祉施設でパッケージングをしている製品を。環境保護ひとつとっても、海を守りたい人、山を守りたい人、それぞれの思いがあることでしょう。昨今、コスメ業界でも多くの企業が何らかのサステナブルアクションに着手していますから、それぞれの心に響く取り組みにきっと出会えるはずです」
エシカルコスメを選ぶ――それは単なる商品の選択を超えた、「自分らしい生き方を選ぶアクション」といえそうだ。
サステナブルコスメアワード2023年 GOLD賞受賞
株式会社Valley and Wind_ALWAYS NEW BALM
サステナブルコスメアワード2023年 SILVER賞受賞
美容薬理株式会社 パルセイユ プラレスソリッドヘアシャンプー
サステナブルコスメアワード2023年BRONZE賞受賞
株式会社SDI ソフィスタンス アドバンスト
自ら深く知ろうとする姿勢が新たな扉を開く
「Cosme Kitchenはオーガニック&ナチュラルコスメの世界を大きく広げてくれた立役者ですし、THE BODY SHOPやORBISは、SDGsという言葉の誕生以前からサステナアクションを熱心に行い、メッセージも積極的に発信している印象です。北麓草水、athletia、SHIRO、SABONなども、自然素材を使い環境への配慮を軸にして存在感を発揮していますね。コスメが人をきれいにするのは当たり前。さらに地球までもより良くするプラスアルファの取り組みが名刺代わりになっているということは、企業の本気があってこそ。そのブランドに触れたお客さまの意識が醸成されるという点でも、大きな価値を感じます」
ヨーロッパの先進的なエシカルアクションに対し、大きな遅れをとっていたかつての日本。ところが、パッケージ素材の薄さの追求や、多様な廃棄素材をリサイクルした容器の開発など、ここ数年の日本企業の努力と技術には目を見張るものがある、と岸さん。
「日本発のエシカルコスメブランドが増えるのは喜ばしい一方、その姿勢をアピールするという点においては奥ゆかしい企業が多い印象です。それを踏まえて、消費者側ももう一歩踏み込んでブランドを知り、共感ポイントを自ら発掘するような意識を持つといいかもしれません。見逃していた魅力や取り組み、メッセージに気づき直すことで、エシカルコスメの選択肢はぐんと広がります」
いま私たちが向き合うべき「コスメロス」という課題
国内コスメブランドにおけるサステナアクションのトレンドについて、このように語る岸さん。そんな画期的な取り組みが増える一方で、いまだ大きな問題が取り残されている、とも。
「それが『コスメロス(※1)』です。手元にあるコスメを使い切らずに処分してしまうという消費者側の行動。さらに、過剰生産、在庫商品の廃棄という、製造・販売者側の問題。それらが相まって、国内だけで年間2万トン以上のコスメロスが発生しているとも言われています(株式会社モーンガータ独自調査 ※2)」
「循環可能な商品やブランドを選ぶという方法もありますが、それ以上に重要なのは、コスメを最後まで使い切るということ。そのためにも、使うという行為の手前にある『きちんと選ぶ』という点を意識してほしいですね。世間の流行や評判に踊らされた『なんとなく』を辞めるだけでコスメロスは減らせます。自分の肌や価値観に合うものを丁寧に見極める――そのプロセスを大切にすることは、コスメの新たな楽しみ方にもつながるはずです」
2025年の幕開けに「コスメを再循環する」という体験を
「イベント店頭に並ぶのは、輸送や保管の過程で外装にダメージが加わってしまった商品。それから、使用期限が迫った結果、通常販売しにくくなったコスメなどです。化粧品業界では、製造から3年は品質を保証するという約束事があります。これは最低限のラインですから、より長期間品質を維持する商品も多いのです。ところが、一律に保証された使用期限3年に対し、残り1年未満になった商品は店頭で販売しにくくなるという実情があります。コンビニやスーパーで賞味期限が迫った食品を棚から『手前取り』するのはもはや当たり前。だからこそ、このPOP UPでは、先のような業界の事情でカスタマーの手に渡りにくくなってしまったコスメを、少しだけお得なお値段で積極買いする――そんなアクションを提案したいと思っています」
さらに、新たなブランドとの出会いを実現し、一人ひとりに合うコスメ選びをサポートする仕組みも大切にしているという。
「みなさんがコスメを購入するときに、候補として想起できていない素晴らしいブランドはまだまだ数多くあるはず。その中に、もっと心地よい選択肢が眠っているかもしれません。今回のPOP UPには、ルミネ新宿店のコスメブランドの他、通常は取り扱っていないサステナブルコスメなども多く集まります。商品やブランドストーリーに触れられるような工夫や演出も盛り込みながら、新たなコスメとの出会いを楽しんでもらえる場作りを目指しています」
そう語る岸さんだが、根底に抱く熱い思いを押し付けるのではなく、エシカルコスメビギナーの目線に合わせながら、積極的に歩み寄る姿勢が印象的だ。
「『エシカル』『サステナブル』と言われるだけで、多くの方は難しく感じますよね。だからこそ、まずはこのPOP UPを面白がってもらうことが最初の一歩。自らが起こしたアクションの意義を実感してもらうために、会場ではPOP UPで購入されたコスメの個数を表示し、その消費行動が地球のメリットにどれだけつながったかを可視化する試みなども用意しています。さらにPOP UPの期間中は、手放すことにしたコスメの下取りキャンペーン(※3)も同時開催します。気軽に足を運んで、ちょっとお得なコスメを選んだ結果、リサイクルやアップサイクル、さらにはネイチャーポジティブといった循環の新たなルートが切り拓かれる――そんな経験を通じて、『自らが循環のバトンを渡す役目を担う一員である』ということを自然に実感してもらえたらうれしいです」
(※2) https://prtimes.jp/story/detail/wxGQkmIem3b
株式会社モーンガータによる独自調査データ。
株式会社モーンガータは『SminkArt』ブランドを介して、廃棄される化粧品の中身の再生利用(アップサイクル)に法人として世界で初めて取り組んだ企業。
廃棄化粧品から絵具・印刷インキ・文具・建材・塗料・樹脂などの色材を開発
(※3)コスメ下取りキャンペーン
>>詳細はこちら
1月13日(月・祝)・14日(火)の各日300名限定で、持参したコスメをルミネ新宿店で使用できるクーポンと交換いただけます。
ONE LUMINEでの事前予約が必要です。
Text: Miho Yajima